おおかみこどもの雨と雪を観て ~主人公は偶像に過ぎない~
初めて『おおかみこどもの雨と雪』を観ました。
通しで観た感想をそのまま書きますので、たぶん普通にネタばれです。
記憶のまま書いていくので、最初の方とか捏造もあるかもです。
時系列順に思ったことを書いていきます。
どれくらい『おおかみこどもの雨と雪』について知らなかったかといえば、そもそも今日あっていることを知らなかったくらいです。十五分くらい過ぎた頃から見始めました。ちょうどお父さんが主人公に正体をバラすシーン。(そういえばお父さんの名前、けっきょく分からなかった)
そして即座に濡れ場! からのイチャイチャ! この時点でわりとごぽりと嫉妬沼から湧き出してくる感じがありました。えっ、なんでわざわざ狼男状態で……?
が、そこからの『つわり』→『自然出産を決意』の流れにはまず絶句しました。どれだけ清潔にしようがなにをしようが、出産は非常に危険です。母子ともに命を落とす可能性が著しく高まります。止めろよお父さん。なに鳥仕留めてきてんだよ。
なにが腹立ったかってこのお父さん、速攻で二人目産ませてるところですよ。しかも絶対に命を落としてはいけないタイミングで、狼状態で死んじゃってたし! これ絶対保険金出ないですよね!
というかそもそも親から狼の末裔と聞かされただのなんだののくだりは話しているのに、主人公に病院へのかかりかたやら何やらを伝えていないのもありえない。こいつ負債しか背負わせてませんよ!
負債という考え方をするから駄目なんだろうか……
まあ他にも色々といいたいことはありますね。
児童相談所(?)から人が来てましたけど、あれもっと対応厳しい筈ですし、住所移すのも簡単にはいかないんじゃないでしょうか。あとそもそも定期健診受けさせてなかったんだから田舎に逃げる前に児童虐待防止法違反とかで捕まったんじゃないでしょうか。
あとは最後の方で雨が狼として森の主になるっぽいんですが、主人公は勝手に何かを納得してオッケーみたいでしたが、いやいやこれ行方不明でしょう。これこそ保護責任者遺棄致死とかじゃないんですか? 家出扱いだからセーフなんでしょうか。田舎こそこういうのでひたすら陰口叩くイメージあるんですが。
それと学校の先生。ちゃんと探そうな。
というかああいう場合は出席簿とかで確認取る筈だからまず見つかるのでは。
まあ、ツッコミどころはとりあえずこんな感じかなぁ。
きっとああいう温かそうな田舎もあるかもしれないので、ここでは意見を控えておきます。
まあ細田作品では全体的にこういう細かいところは無視される傾向にあるので、言っても無駄というか、粋じゃない奴扱いをされるような気もします。
なのであとはひたすら主人公を褒めますね。
こども? いや褒めないですけど。
主人公の背景をぶっちゃけよく知らないのであれなんですが、
・女子大生なのに出来ちゃった婚&出産(あれ? 婚姻してるの?)
・そもそも主人公の他の家族は?
・出産してわりとすぐに旦那の遺体が清掃作業者に呑みこまれていくとかいう近年稀 に見る鬼畜シーン。
・それも僅かな間で乗り越える、ジャンプの主役なんか目じゃないくらいのメンタル の強さ。
・慣れない環境で、強面のおじいちゃんにスパルタで指導されながらもひたすらつい ていく肉体的強度(そもそも素人のみでの自然出産二回はヤバいと思う。いやよく 知らないんだけど。)
・山であれだけ転がり落ちても死んでない。
・技能を身につけるスピードが早過ぎる。というか勉強量……。
・えっ? 結局貯金はどうなってたの?
というところでしょうか。こいつ超人かよ。なにより殆ど怒鳴りつけたりしないまま物語が進んでいく所も凄い。場面場面から塗炭の苦しみを味わっていることが伝わってくるのに、主人公はこどもたちを笑顔で支え続ける。ところどころから愛情以外の感情なんか持ち合せていないようにしか思えないくらいだ。
四十台で早くも隠居生活というか仙人のような生活を送る辺り、もはや完璧に超人か何かなんだと思います。
そしてそういう超人的なところに私は惹かれるのですが、これはおそらく憧れでしょう。こんな人間、いてたまるか。