主人公が職業『メイド』だからってそっ閉じするのは間違いです
もう何作目ですかね。紹介してるの。七ぐらい?
ともあれ、今日は久々になろうの小説の紹介です。
そろそろ配当出たかと思ってSBI証券覗いてみたら資産減額してて萎えたとか言えない
今日はこれ。『メイドは進むよどこまでも!』です。ブックマークしてる中からわりとランダムに決めたとか言えない
まぁ、なろう界ではありがちな話なんですが、異世界転移したキャラクターにはチートなりなんなり、とりあえず能力なり魔法なりが与えられることが多いです。いやたまに何も貰えない人もいますけど。
この作品もご多分に漏れず、『職業』というチートが与えられています。主人公は(たしか)高校生で、同じ部活動の部員とともに異世界に飛ばされるわけなんですが、どうしたことか他の部員は『騎士』やら『魔術師』やらカッコ良さ気な職業を得るのですが、肝心の主人公は『メイド』という、魔物蔓延る異世界ファンタジーではあまり役立てないような職業を与えられます。戦えないと死んじゃうしね。
そんな逆境にもめげず、主人公は元々持っていた能力やら資質やら家事能力やらで仲間達とともに現実世界へと帰るために旅を続けていくのですが……。
先に言っておきます。これは異世界ファンタジーヒャッハーな物語ではありません。
私が汲み取ったテーマは『友情』です。
無力でも、挫けそうでも、投げ出しそうでも、それでも友情を糧に苦難の道を歩み続ける物語です。
主人公は、この異世界では殆どといっていいほどに無力です。
その結果として、もっぱら他の部員達に守られっぱなしのまま、ちりぢりになった部員たちを探し求めて旅を続けていきます。
そんな旅の中、ある時、主人公は女性達から「紅一点のハーレム気取りか」だの「オタサーの姫かよ」だのボロクソ言われたりします。(こんな感じのことを言われますが、本文中ではこうでは無かったと思います。)
こんな陰口というか悪口を直接叩かれて、他の部員達は激昂しますが、主人公はどうすることもなく黙っています。こういった人種とは価値観が合わないととっくの昔から悟っているからです。
まぁ、読んでる途中で分かることですが、主人公は結構な変わりものです。なので地球に居た頃からも「男の好きそうなものを好む女はおかしい」とか「女の子は女の子で集まるべき」とか「男だらけの場所に居続けるのはおかしい」とか、そういう暗黙の了解というか、そういうレッテルを貼られたりしています。
個人的には、巨大な魔物を倒すとかよりも、こういう『人間の悪意』の方がよほど強敵で、難題に挑んでいる感じがしてくる気がします。あくまで主観ですが。
何十年、何百年もこうした価値観が変わっていないことが、その証拠であると思われます。いやもうそれこそ主観ですが。
ともあれ他にもいろいろな苦難が待ち受けていますが、主人公や仲間たちは歩みを止めずに頑張っていきます。
そうして、苦難を乗り越えて目的を達しようとしたそのとき、主人公は最悪の苦難を乗り越えなければならなくなります。
その時、頼りになった部員達の姿はありません。
主人公はその苦難を、ただひたすらに、友情をよすがに、乗り越えるのです。
『友情』。これ以上ないほどに、ありふれたテーマ。
だからこそ、それを示すために、『物語』は紡がれます。
なろう界で読まれるためのキャッチーさや、読みやすくするための一人称の穏やかな語り口に騙されてはいけません。
読了感もさることながら、なによりこのありふれたテーマを描き切ったその手腕をこそ、ほめたたえるべきでしょう。
ぶっちゃけ読んだのけっこう前なのでわりと内容違ったりするかもしれませんが(とにかく「うおお、女子の争い方って陰険で怖えぇ……」という想い出のせいでこういう書き方になってる気もします)ともあれ、テーマは『友情』です。
孤独、絶望、無力感、悪意、猜疑。
多くの苦難を設定することで、そう感じさせることなく丁寧にテーマに沿って書かれています。
どうぞ、お気に召しましたらお読みくださいませ。
もしくは「おいおい内容全然違うやんけおいコラ」という読み方でも可