FateHF三章の感想(何故か書いてなかった)
今さらながら、簡単にHF三章の感想を書いていく。書いてなかったことにちょっと驚いた。観たことで満足してしまっていたのかもしれない。
色々言いたいこともある。
俺の好きなシーンは、まぁ、尺の都合でめちゃくちゃ省略された。
対バーサーカー戦。その直前の葛藤や心情こそ1番好きなシーンだ。主人公が明確に覚悟するシーンといってもいい。英雄のような背中を晒す士郎は、けれどこのとき正義の味方という理想に背を向ける覚悟を決めている。ある意味ではここから彼が人になった瞬間と言ってもいい。
他にもそう。桜のシーンだ。記憶は薄れ、できていたはずのことができなくなり、士郎直伝の料理すら作れなくなるシーンもカットされていた。胸の痛くなるシーンだ。何をしているのか分からなくなるつらさ、自分が自分でなくなっていく怖ろしさ。それに発狂することなく耐え続けるのがどれほど大変か。
桜の罪は罪であるが、追い詰めに追い詰められての凶行であったことも確かなのだ。
先にあれこれと不満を述べてしまったが、これは間違いなく桜の物語だ。これは須藤監督にしか作れなかっただろう。この制作陣にしか描けなかったであろう。この尺でこれほどの完成度に仕立て上げたのは見事と言うより他に無い。
セイバーオルタ戦も美麗であったし、姉妹戦は新たな解釈で描かれていた。
また、ラストの遠阪姉妹が2人で歩く、お互いに今までの時間と距離を詰めていく表現も十全だ。良かったなと思わせる。
映像は美しく。散る桜のようにふわりと終わり。
春はゆき、物語は終わり、桜たちとは異なる道を、私たち自身が征くべきだと。
その1歩は教えてくれた。